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ナースコールは一度だけ(後編)~【入院日誌】 - 2014.03.31 Mon

「本日担当させていただきます看護師のHと申します。よろしくお願いします」
H看護師は比較的年配のベテラン看護師といった感じ。
入院が決まると、いろいろ手続きや確認書の記入やらで忙しい。
入院手続きが済むと、活動制限の説明と転倒防止についての説明を細かく受ける。
私の場合、歩行は×となっているためトイレに行くにも車椅子で看護師付き添いということになっていた。
それを無視して一人でトイレへ行こうとして転倒する事故が多いらしい。
自分では大丈夫と思っていても、病人は歩行さえおぼつかないものらしい。
だからなんらかでベッドから動く場合には絶対にナースコールで看護師を呼ぶように、ということを
強く言われた。トイレでは専用の計量カップに用を足しその量を記入するよう指示された。

 鎮痛剤が効いて腹部の痛みが治まると、なんで入院なんてしなきゃいけないんだ?と疑問になる。
若干背中が痛いこととみぞおちあたりに鈍痛を感じるだけで、歩行は全く問題ないと思った。
血液検査やCT検査で膵炎であることは間違いないらしいが、原因がわからないため午後からMRIなど
精密検査をして調べるらしい。
主治医は年配のドクターだが担当医のF先生はかなり若い。ひょっとしたら研修医かもしれない。
F先生は私に、昨日アルコールを沢山飲まなかったか、暴飲暴食をしなかったかなどと聞いてきた。
救急で受診した際に先生に、そして入院が決定した際に看護師に対して、同じ質問をされたので
これで3度目の質問だ。
お酒は一滴も飲んでいないし、食事も普通の量で間食もしていません。
そう答えると頭をかしげていた。
あとは胆石や膵癌が原因の場合もありますので午後から検査します。との説明だった。
後に、家内や娘は結果がわかるまでかなり心配した、ということを聞いたが、
なぜか私は全くといっていいほど心配はなかったし不安もなかった。
もしかしたら癌?とは思ったが、それは確定したら悩めばいいことで、今は悩んでもしかたない、
と本当に思ったから特に気にならなかった。

 それよりも、トイレの度に看護師を呼んで車椅子で行くなんて・・面倒極まりない。
更に、私は前立腺肥大もあって頻尿だから一日10回はトイレに行くし、深夜も数回行く。
そのたびにナースコールをしなくてはいけないなんて・・・どうしよう・・
と、そのことばかり考えていた。

 しかし検査を一通り終えた午後、その心配は無用になった。
H看護師がやってきて、
「先生の指示で活動制限が変更になりました。もうトイレでの採尿はしなくてよくなりました。」
一瞬、やれやれ助かった・・と思った。
「その代わり、尿道カテーテルをして採尿をしていただきます。後でポータブルトイレを持って
着ますので、お通じの際はポータブルトイレにしてください。その場合、必ず看護師を呼んで下さい」
はぁ??重病人じゃあるまいし、なんでポータブルトイレ??尿道カテーテルって?何??
「後ほど、尿道に管を通しますが男性の場合かなり痛いです。更に筒井さんの場合前立腺肥大が
あるため通りにくいと思いますので相当痛いです」
と言う。
もう、『相当痛い』という言葉にビビリまくりで、
「それって絶対にしなくてはいけないんですか?」と尋ねると、
「先生の指示なので絶対にしなくてはいけません」と言う。
あのF若先生だなぁ、原因不明だからおじけついたんじゃないか??などと想像したが、
尿道カテーテルの実施からは逃れられそうにもない・・・(涙

 まだ検査結果は出ていない。ひょっとしたら癌の可能性も・・・という心配をしなくてはいけない
ところだが、その不安は全くおこらない。それは確定事項ではないからだ。
それよりも今確定している尿道カテーテルの方が不安でたまらない。相当痛い・・・ってどれくらい?
ベッドの頭上に痛さレベルの表がある。レベルは1~10までの十段階。10は今までに経験したことの
ない痛さ、という説明書きがあり、大泣きした顔マークがついている。
今までに経験したことのない痛さ、というのは経験してないから未知の痛さ?
想像するだけでも痛そうだ。どうしよう・・・・
 
 と1時間ほど悩んでいたら、ガラガラとワゴンの音がしてそれがだんだんと近づいてきて・・・
カーテンの直ぐ外で止まって・・・カーテンが開いて・・・H看護師が立っていた。
「今から始めます。準備をしますので、ズボンとパンツを脱いで待っていてください。」と・・
私は布団を腰に掛けてその時を待っていた。
滅菌手袋を装着し、何やら器具類を準備しているようだった。
私は、唯一動かすことのできる左腕を目の上に乗せて、目をしっかりとつむった。
もうダメだ・・・相当に痛いという未知の痛さを今から味わうことになる・・・どんだけ痛いん?
もう好きにしろ!・・なんでも受けて立つ・・・
もう正にまな板の鯉のごとく観念するしかなかった。

 そしてすべての準備が整った。
「それでは口で大きく呼吸してください。ゆっくり呼吸をして絶対に力まないようにしてください」
言われるように口で呼吸をしてそれに意識を集中した。
最初は、何かヒンヤリとした感覚・・・多分消毒をしているのか?
次の瞬間だった。
「痛いっ!」と声を上げてしまった。
「まだ入れてませんよ、力を抜いて!」とH看護師。
(いや、何か入れられた痛さだと思うけれど・・・)
後に調べて分かったのですが、多分この時ゼリーを注入したのだと思います。
「では管を入れますので絶対に力を入れないように、楽にしてください」と。
「はっ・・はい・・」
しかし、次の瞬間。
あぁぁぁっ!痛いっ!!」
力抜いて!」 H看護師の声も大きくなる・・
この時思った。痛い時って絶対に力が入る。無意識に条件反射的に力が入る、それなのに
力を抜いてと言われても絶対に無理だ!と。
「まだ少ししか入っていません、力を抜いてください。口で呼吸をして」
と言われるが、痛くて額からは脂汗が流れてくる。
男性の場合、尿道は曲がり角が多く、途中には前立腺に囲まれている。
前立腺肥大の場合、尿道が圧迫されて細くなっている。だから管が通りにくい。
今前立腺あたりなのだろうか・・・そんな想像する時間の長さというか余裕もあった。
「入らんねぇ・・・」と何度もつぶやいていた。さすがにH看護師も困った様子だ。
ある部分(多分前立腺)を突破しようと挑戦する度に、お腹を剣で突き抜かれるような激痛が走り
全身に力が入った。すると余計に管は動かなくなるようだ。
「困ったねぇ・・」独り言のように呟きながら、何かに気付いたように私にこう言った。
「ナースコールを押してください!」
えっ? 私は一瞬何を言っているのか意味が分からなかった。
「応援を呼びたいんでナースコールを押してください。私は押せないんです」と言った。
なるほど、そういうことか・・・滅菌手袋しているし、他のものは触れられないわけだ。
私は入院して最初でそして最後となるナースコールを押した。
「はい、どうされました?」
スピーカーから声がした。
「ちょっと誰か応援に来てください!」H看護師が答えた。
「わかりました、直ぐ行きます」
しかし、直ぐには来なかった。
「早く、来てくれないかなぁ」H看護師の呟きを数回聞いた。
その待つ時間というのが数分もかからなかったと思うが、何か気まずくて微妙に長く感じる。
そして、K看護師がカーテンを開けて入ってきた。
私はずっと左腕を目の上においているので、何をしているのか全くわからない。
H看護師がK看護師に
「ゼリーをつけて」と指示したのが聞こえた。
(おぃおぃ、これじゃまるでSM3Pプレイじゃないか)
と、ジョークを頭で呟く余裕が一瞬だけあった(笑)
しかし、次の瞬間
「痛いいいっっっ!!」
と殆ど叫び声を上げてしまった(汗
やっと終わったかと思ったのだが、残念ながらまだだった。
二人の看護師が「通らんねぇ・・」とつぶやいていた。
その時、カーテン越しに人影が映り、その影がカーテンを開けようとした。
「開けないでください!」H看護師が大きな声でそれを制止した。
一瞬カーテンが躊躇するように止まったが、サッと開いた。
そこに居たのはF先生だった。
「あぁ、先生でしたか、すみません」H看護師が言う。
ここはまだ救命救急病棟だったため、病室のように扉がない。
そのため私の悲鳴が聞こえて様子を見に来たのかもしれない。
私の子供よりも若いと思われるF先生は腕組みをして眺めている。
(先生が活動制限かけるからこんな目に合ってるんですよ・・)と思った。
そしてF先生はこう言った
「難しいようなら、後で泌尿器科へ行ってもらっとてやってもらってください」
いやぁ・・冗談じゃない。こんな痛い思いをもう一度初めからやるなんてゴメンだ。
それなら病院を逃げ出した方がマシだ。
と、本気で思った。
なんとしても、この場で成功させなくては・・・・
私はとにかく口で呼吸をして、それに意識を向けた。
痛いことは忘れよう・・・痛くない・・・痛くない・・・
全身の力を抜いた・・・・
何か・・・何かが・・・突き上げてくる・・・痛いけど痛くない・・・
脱力・・・脱力・・脱力・脱力~~~
次の瞬間
「通りました!」
看護師の声がした。
F先生がカーテン越しに消えていくのが見えた。
もう殆ど意識も朦朧としていた。痛さに耐えるって本当につらい。
額には脂汗が滲んでいた。目頭から一粒涙がこぼれた。
「お疲れ様でした。痛かったですねぇ」そう言われて、
「レ・・レ・レベル10でした」と小さく呟いた。
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● COMMENT ●

レベル10

いやいや大変でしたね!
尿道カテーテルを入れる時が入院中一番痛かったんじゃないですか?
想像しただけで・・・あ~痛い!!!
麻酔は出来ないんですかねぇ・・・

ええ一番辛かったことです

手術の場合などは全身麻酔されている間に入れられるので痛みはないそうです。
現代医学がここまで進歩しているんだから、痛くない方法はないものですかね?


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Author:tsutsui-s
広島県在住。
複数の会社と店舗施設を経営。自分に出来ないことはない、という自信過剰ぎみの精神力を糧に、新しいものに挑戦し続ける中年です。

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