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2017-07

「倍返し」は成功するか? - 2013.09.23 Mon

 久々の大人気ドラマ「半沢直樹」が昨日最終回だった。
意外なラストに不満を残した視聴者は多いと思う。
結局は頭取が黒幕だったわけ??と疑問を残す。

 原作を読んでいないので作者の意図するところはわからないが、
大和田常務の取締役降格の辞令は別として、半沢直樹の出向の辞令はある意味
全うな判断ともいえる・・・と、私は思っています。

 悪を打ちのめし正義が勝つ、というのはセオリーであり見ている側もとても気持ちがいいもの。
水戸黄門、大岡越前、遠山の金さん、忠臣蔵・・・日本の時代劇のほとんどが同様のストーリー。
しかし、それを現在の金融機関や金融庁などといった、複雑な現代社会の仕組みや利権の世界に
当てはめていくと、「正義」というものが難しくなるようにも思います。

 なぜ、私は半沢直樹の出向もやむなしと考えるか?
大和田常務がどんなに悪いやつか?ということは別として、
取締役会の席で、大和田常務の個人の預金や借金などの個人情報を暴露し、頭取が制止するも
それを聞かず、大和田常務を罵倒した上で土下座させる。
ドラマだから見ていて「やれ!やれ!」と誰もが半沢直樹に声援を送る。
しかし、もし現実的に部下が上司に対してこのようなことをして許されるか?答えはNoだろう。

 やられたらやりかえす、倍返し、いや百倍返し、と半沢直樹をここまで動かしたエネルギーの
源は、25年前の大和田常務が父親にとった態度への恨みである。
まあテレビドラマだからネタとして大目にみているが、この怨恨には少々無理があるのではない
だろうか?と思われる。大手企業から個人の会社まで全ての会社の平均寿命は6年といわれている。
あたかも銀行が融資しなかったために会社が潰れたかのような表現だが、倒産する会社の多くは
融資とは関係なく倒産してしまう。へたに多額の融資を受けたうえで破たんすると、被害は下請けや
同業者へも及んで連鎖倒産なんてことにもなりかねない。
銀行が融資を断る、そんなことは当たり前で日常茶飯事。
私も事業を初めて30年以上の間に、銀行に融資を断られたことは何十回とある。
単に断られるだけならまだいい、一度融資すると約束していたものを、土壇場で手のひら返しの
ごとく断られたことも何度もある。新しい事業をする時に、すでに準備に入っていて後には引けない
時に、手のひら返しをされて途方にくれたことは何度もある。
だからといって自殺をしていたのでは命がいくつあっても足りない。

 企業というのは、銀行から融資を受けて救われる場合もあるが、融資に甘んじて怠慢経営に
陥り破綻することもある。恵まれた家庭で育つ子供が立派な強い大人になるとはいえない。
むしろ貧しい家庭で育った子供のほうが、強くて信念のある大人に成長することは多い。
銀行頼みの経営はどのみち破綻が目に見えている。金策をどう乗り切るか?それは経営手腕で
あり、血のにじむような努力と知恵と人格の結果である。
銀行が融資を断るのは当たり前のこと、それを恨みに思うなら銀行員が可哀想すぎる。

 やられたらやり返す、という復讐心のもとに正義は成り立たない、ということを
このドラマが教訓として伝えようとしたのなら、とても共感できる。
頭取は結果的に失脚することもなく半沢直樹によって助けられた。
ドラマの本筋が、頭取を信頼する半沢直樹が、その座を狙う大和田常務の悪態を暴き、
それを阻止し銀行と頭取を守る、というストーリーなら別のエンディングだったろう。
しかし、あくまでも本筋は「やられたらやりかえす」25年前の怨恨による復讐、それが全面に
出すぎているため、伊勢志摩ホテルを救うとか、銀行を救うとか、頭取を守る、といった部分
が薄っぺらく見えてしまい、それらは復讐のための手段のように見えてしまう。

 多少私の見かたはうがった部分もあるかとは思います。
しかし、現実社会を見回すとなかなか半沢直樹のようにはいかないことが多いのも現実。
言いたくても言えないこと、やりたくても出来ないこと、重くて固い扉に閉ざされた中で
生きている私たち人間の、ある意味代弁者として「半沢直樹」はスターなのかもしれません。

 「目には目を、歯には歯を」ということわざの本来の意味が、「やられたらやり返す」
ではなくて、人ほ傷つければ同じ痛みをもって償わなくてはいけない、という意味で
あることを、誰もが知ってほしいものです。
やられたらやり返すに相応する格言やことわざがないことを考えると、それは間違った
考え方であると言わざるを得ません。
一方で「目には目を、歯には歯を」「天唾」「身から出た錆」などのことわざが多いように、
間違いを起こせばなんらかの罰があるだろうし、人を傷つければ自らも傷つくだろうし、
報復は新たな報復を生むだろうし、巡り巡って必ず自らにも降りかかってくるということ。
同時に、与えれば与えられ、助ければ助けられ、分ければ分け与えられるのでしょう。
きれいごとかもしれませんが、それが人間の、世界の仕組みなんだろうと思います。
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広島県在住。
複数の会社と店舗施設を経営。自分に出来ないことはない、という自信過剰ぎみの精神力を糧に、新しいものに挑戦し続ける中年です。

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